hwb work diary 2007.9


9/27
仕事のスケジュールが大きく変更することとなりそうで、段取りに追われてしまった。

予約で来年まで製作を待って頂いている方がいるので、なんとか精一杯やってみようと思う。
がんばりたいと思う。
完成したイタヤの03ダイニングテーブルを見て、クルミ材で作った同じ大きさの03テーブルを思い出した。
確実に材質によって、印象が変わる。

どの木も、それぞれに違った「らしさ」がある。



9/26
朝、大須まで出かける。急ぎの金物を引き取りに行く。そのまま打ち合せに行き昼過ぎに工房に戻る。

夕方、緑区までソウタとtvシェルフを納品に行く。新築、引っ越しの最中に納品。帰り、夕方のラッシュアワー、いろいろと考える。
なんだか、幸せな気分である。



9/24
写真を整理した。2年間分の写真を。

えっ?もう2歳!?あっという間だけど、、、、いろいろあったんだなあ、と少し感動してしまった。

いいことばかりではもちろんなかったけど、だからこそ今がある訳で、これからもそうなんだろうが、がんばろうと素直に思えた。

「世界中にさだめられたどんな記念日なんかより、あなたが生きている今日がどんなにすばらしいだろう♪」と、歌ってみた。




9/23
チェリーのキッチンを仮組。途中、側板など変更があり手間取ってしまったが、予定より遅れたものの奇麗に形にした。。

既に、各部のパーツは出来上がっているので、来週から抽出しなどを取り付けていく。


大きくても、一つ一つのパーツを作っていく段階では、やっている事は同じである。
精度よく作ったものを、精度よくくみ上げて行く。そういう事である。




9/21
これ、工房で使っている椅子。材料はスプルースとパインとファーと、、いわゆるSPF材。
修行していた頃に、製作させてもらった椅子。材質と時間を限定した課題を頂き、取り組んだ木の椅子である。

体力、気力、想像力、を全力。出し切ってなんとか時間ないに無理矢理完成させたもの。
今ちゃんと作ると、一脚、堅木で2日はかかると思う。

この椅子恥ずかしくて、、、自分への戒めとして工房で使っている。が、最近、この椅子がなんか良く思えて不思議である。
松の木がやさしく気持ちいいというのもあるが、実に使いやすいのだ。

で、リデザインに取り組むことにした。



9/20
イタヤカエデだ。カエデの03ダイニングテーブル、そしてTVシェルフ、チェストとしばらくカエデが続く。
カエデの家具はソウタが担当している。スタッフになって5年目のソウタは、木を相手にしっかり仕事ができるようになった。
彼の性格は、几帳面でおおらかで、僕とは性格は違うものの共通する素質というか覚悟というかそんなもの感じる事ができる。
彼にとってhwbのスタッフとして過ごしてきた時間は、本当に良かったと思う。

来年の春で地元の高知県に戻り、独立する。
高知県に、安心して頼める家具工房ができる日もそんなに遠くはないと思う。

明日の夜は、久しぶりの家具ミーティングである。「家具好きの家具好きのためのミーティング」



9/19
午前、三重県まで納品に行く。3年前に作らせて頂いた、ダイニングセットやソファ、ロウテーブルと再会することとなった。
お客さんのうれしい出来事も聞け、なんだか平凡な日常(幸せ)ということをぼんやりと考えていた。

3年という時間は、あっという間である。毎日は、そんなに激的な日々ではなく、地道な積み重ねである。突然、何かができるようになる訳でもなく、積み重ねた日々を振り返った時にはじめて、いつの間にか様々な経験をしている事に気づけるのである。
ラッキーな事もたまにはあるかも知れないが、それはそう感じるか感じないかの意識しだいかもしれないし、そもそも自分が積み重ねた経験とは言いにくい。注目すべきは、昨日とそんなに変わらない日常のことである。

昨日とは変わらないけど、10年前とは大きく違う。だからおもしろい。
継続はなんとかである。

とにかく、忙しさの中に身を投げ入れてきた僕である。とはいえ、これはこれでマイペースである。





9/16
土曜日、日曜日とお店の営業日。来店される方が増えたように感じる。僕は、土日も工房でスタッフとともに家具を製作しているので、汗だくである。そんな中、打ち合せが入ると、顔を洗い整えてから店内に入るようにしている。
オリジナル家具の場合とは違い、オーダーメイド家具の依頼の場合は、細かい打ち合せが必要である。
「求められている家具は、なんなんだ?」と問いかけながら、経験と挑戦をミックスしながら、提案していく訳だ。



家具。
打ち合せをし追求していくその様が、僕は好きである。


しかし、今日はへんてこりんな天気だった。湿気が多かったなあ、、。




9/14
今日は、ものすごく汗をかいた。3メーター材を取り回し、木取り作業をすると汗だくになる。
3メーター材をぐるぐる回転していると、いつも連想するのは、西遊記、そう孫悟空である。
汗だくになって、一心不乱に木取り作業をしていると、まるで大きな如意棒をぶん回している気がしてくるのだ。ゴールを目指すより、目の前の事に必死である。
如意棒は伸縮自在である。木も多少伸びたり縮んだりする。数パーセントであるが、、。

夕方から、納品に行く。丸いロウテーブル、ダイニング、イス、TVボード、チェストと納品車満載である。チェストを階段の吹き抜けから持上げ搬入する必要があったので、4人での納品となった。ある意味ひとつのけじめである納品、スタッフもいい顔になっていた。黙々と作業をし家具を作り、納品。僕らにとっては、そこはささやかながらにもハレ舞台。

打ち合せをし、デザインを提案、再度打ち合わせをし、製作図を作り、材料を仕入れ、木を加工し家具にする、オイルワックスで磨き馴染ませ完成する。そして写真に記録し、自分に記憶させる。
そしてお客さんのもとに届ける。帰り道、いろいろ考える。とにかく、とても良い気分になれる瞬間である。




9/12 
おっ?だいぶ涼しくなったのでは。作業のはかどる季節到来である。
鉋がけが、これで少しは楽になる。集中力も増す季節、スムーズに進めたいものだ。

しかし今日の夕暮れ空は奇麗であった。欲しいものは少ないが、あれは欲する。夕暮れの時間。
なぜだか、生きてると実感する。野生にふれた精神が健全になるようだ。




9/8 
まったく!はっきり言って、まだまだ暑い。タオルは絞れるくらいになる。スタッフともにみな汗かきまくり。ホントおつかれさん。この残暑の中、製作という部分では、よくがんばってるよ。ホント。

汗をかきまくりながら、「無駄なエネルギーを消耗してくれるな!」と、僕の体が言っている。
とは言っても、やるしか進まないので、突進していくのだが、汗がじゃまするんだなあ。

作業中に手を(というか体を)動かしながら、いろいろ他の事を考える余裕もある。不思議と2つの事に集中できるのだ。
車の運転中に知らぬ間に、他事を考えているような、、、すごく似ている。

考える多くのことは、家具から枝分かれしたライフスタイルのことや、逆に家具の根源を掘り下げた思想にまで至こともある。
もちろん、現在製作中の家具のこと、お客さんのこと、そして、家具の依頼やそれに答える製作という目に見えることも、客観的に再構築したりと、いつの間にか真剣勝負で、楽しめる事は多い。

顔、笑顔、食事、帰宅、会話、子供、生涯、労働と労い、くつろぎ、睡眠、快眠、深い呼吸、ストレッチ、気持ちのいい音楽、ヨガ、瞑想、趣味、主観、自我、生と死、希望、愛すべきもの、愛されるもの、思想、、、と巡る。
残暑の中、むしろ体で家具を作りながら、知らぬ間にそんな事を想っている。そして知らぬ間に汗びっしょりである。

そうこうして日々を過ごしていると、それなりに、満を持して決断されていく事もある。
希望や願いが、そうやって形になっていく。
だから、木を撫でるようにして家具にする。目に見えない部分を思えるかどうかである。

先日、友人が「瞑想は必要だよね」とギターとアンプに囲まれたその部屋の中で言っていた、エフェクターかけまくって「この音、インドっぽいんだよね〜」と、うんうん。
そうそう、僕ら作り手も資源の犠牲の上で成り立つ責任のある作り手でもあり、許しを得ながらの毎日修行のようなものである。瞑想とはいかないまでも、自分を見つめる時間という意味で、僕の日課の日記はかかせない。



9/7
建具のかがみ板×5。チェリー材。
夕方には、かまちに組み込んだ。

そうそう、夜、刃物を研いでいる時に、気が付いたことがある。

家具に組み合わせたい素材のひとつである金属の事である。昨日今日の疑問でない。確実に10年以上の疑問だった。
想像している鉄の質感、、、、上手くその質感を具体的にあげる事ができなかった。
で、気が付いた。
「あっ、ハガネだっ。」
天然砥石の研ぎ汁の中で、鈍く光る刃先の鋼。シルバーというよりブルーグレーというか、、、。

あーなんということだっ。ものすごく貴重な素材ではないか!あかんあかん、これでは、家具に採用できそうにない。なにせ、コストがかかりすぎてしまいそうである、、、。いや、決めつけてはもったいない、なにかいい方法が、、?

名工が鍛えた、玉鋼。打って強くなればなるほど魅力が増したりして。ははは、、、。



9/6 
まだ製作中のチェスト。工房からいったんお店に置いてある状態だ。
工房で作業をしやすくするために、移動したわけである。

チェリー材だが、白っぽくみえると思う。
それは、サンディングの
途中だし、オイルも塗っていないからだ。


寝室に置く家具に、チェリー材をというのが、なんだかはまってきた。




9/4 
今日は暑かったな、湿気が多く、汗かいたあ、。
また夏に戻ったかのようだ。

職人は仕事を与えてくれる人に、謙虚でないといけないと思う。
プライドやこだわりとは別の話で、それは仕事上の立場の問題。今日はそんな事を感じる事があった。
苦労話ひとつもできなきゃ、同じ職人とは思うことはできない。
謙虚さがなくなったらおしまいなのに。
自分が完璧と思っている者は、人をなめたような態度をする事が多い。謙虚な人は、そんな事問題にしないが、同情する。
残念である。
頭でっかちの、にわか知識の多いやつは、つかれるね。

しかし今日のビールは、ひと味違った。



9/3 
木取りを終えたチェリー材。ますは建具類から製作している。建具は框組。枠内にはまるカガミ板も同じくチェリー材。ほんとうに贅沢である。

カガミ板の木作りも終え、木柄合わせまで終了。
木柄を合わせ作業は、サイズが大きくなるほどに、困難になる。
長くなればなるほどに、節やシラタなどが多く入ってくるからだ。削り落とす部分が増える一方である。それでも、できるだけ材料を無駄にしたくないので、センスとカンをフルに使い、やりくりする。
できるだけ、ゴミにしない。家具にする。
それより以前に、木取りで失敗していたら木柄どこの話ではない。




9/2 
店内は納品家具でいっぱいになってきた。
最近よい事だと確信した事がある。それは完成してから、しばらくの間、お店で家具を過ごさせる事によって、より良い状態で納品できるという事だ。

理由は完成してから2週間くらいで、木が家具としてなじむからだ。
木肌の色が変化するという理由は事が大きくわかりやすいが、僕が思っていることは、もう少し違う理由である。

使う側の立場では関係のない事かもしれないが、完成した家具を、ぼんやり眺め対話する時間が、作り手には欠かせない大切な事だと言える。それは言ってみれば、納品前の最後の工程である。家具を前に、いろんな事を想像する。サイズ感、質感を確かめ、自分の奥にそっととどめる。そして自問自答し、時には
答えの出ないことにすら、考えたりする。

これが終わりでなくこれからが始まりなんだと、いつも思っている。
大切にしたい心の工程である。



9/1 
チェリー材の木取り。ナラ材の木作り、アガチス材の組み手加工、、、。オガコもあふれ、工房の床はピンク色や茶色である。工房内は、製作中の家具でいっぱいである。ナラ材とブラックウォールナット材とチェリー材。

建築家具の依頼、オーダーメイド家具の依頼、オリジナル家具の依頼と、どれも同じ気持ちで取り組んでいる。

道具を道具として使ってやれる毎日。職人として自分と格闘し、そして明日も家具を作れる事が、なにより幸せである。
こうやって忙しく仕事をさせて頂いていることに、とても感謝している。

だからこそ、この日々が続くのだと思う。
喜び勇み家具を作り、おいしくご飯を食べ、寝る前に本を読む、そしてぐっすり寝る。


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