hwb work diary 2007.10



10/31
来月、現場に取り付けに行くキッチンである。
これは、仮組。またバラして搬入する。
今回のバラしは半端でない。本当にバラバラになる。

今日も、また深夜まで仕事がかかってしまった。いつものように一人で11月に突入という事でアル。
夕方までの作業だけで、仕事が終れたらどれだけ時間にゆとりができるであろう。

夜の図面作業などの事務仕事なしでは、この仕事は成立しないので、このサイクルは15年前のとっくの昔に受け入れている。
図面作業というのは、作業以上に、価値のある提案をできるかどうかを考えることでもある。作業自体はそんなに大変ではないんだけどね。

夜の作業全般に言えることは、クリエイトする時間であるので、ある意味では、とてもリラックスできている。

だから、無心になってしまい時間を忘れてしまうんだなあ、、、。



10/28
イタヤカエデのTVシェルフ。

毎回コウシの扉は、微妙にサイズを変えて、いろいろ試している。
だから、確かなバランスを知ることができる。


最近、イタヤカエデの家具の注文が続いている。
ますます、材料としては貴重なものになっているので、いつまでそれに応えることができるかわからない。

もともと、貴重な木材ばかりで製作している訳だから、いろいろと考えることがあるが、今のこの時代に出会えたお客さんは、木への理解が深い方ばかりで、作り手として、報われるのである。



10/27
ブラックウォールナットのロウテーブル。これと同時進行で、円卓も製作した。

ともに、オリジナルのデザインだ。
ブラックウォークナットのオーバルロウは、新鮮であった。


この材料はやはり、個性がある。

節度を持って使ってやると本当に良い存在になる。

やっぱり好きである。



10/24
これ、革の縫製と構造を知る為に、アンティークのイスを撮影したもの。

いろいろと勉強になった。

実際に作るつもりになって見てみると、あらゆる部分で解明されていく。


なんとなく見ていてもダメで、自分で明日にでも作るつもりで見てはじめて見えてくる部分がある。




10/22
先週はいろいろ忙しかった。工房で仕事をしていると落ち着く。

急なことではないのだが、92歳のおじいさんが亡くなった。

亡くなる数時間前のこと。鼻歌、そしてニコニコと笑っていたおじいさん。
おばあさんが「どうしたの?」と訪ねると、「映画を観ているんだ」と。

「一円あれば、映画を観てご飯を食べてこれた」とよく言っていた。
そうかあ、、。映画を見てたんだね。

おじいさんの青春アルバムをめくると、それは戦時中の写真もある。
中に、子犬2匹と撮影されたものがあった。その下に、「この子たちも一才になりました」と。
その写真は僕がもらう事にした。

今まで、本当にありがとう。未来につなげます。



10/12
「本当に今迄ありがとう」と伝えたい人はいますでしょうか?
言葉にして、伝えなくては!



10/10
朝から出かける。革の縫製をお願いするため、ノウハウと技術のある方を探していた。
そして今日、念願の職人とお会いする事ができ、テンションが上がってしまった。
やれる範囲が広がって、何かが打破できた。

別にそんなに喜ぶ事ではないかもしれないが、とにかくうれしくてテンションが上がってしまった。
素材を活かした技術加工を施す家具革職人は実在しないのではないかと、諦めかけていただけに、衝撃的であったのだ。

その後、革屋さんへ連れて行って頂く。

昼過ぎに工房へ戻る。さわやかな天気で、作業も快適にすすむ。




10/8
もうすぐ納品予定のワイドチェスト。


完成してから3週間くらい経過している。ワオールナットの色みが増した。


今日は工房で一人作業をすすめた。
機械作業が込み合ったりすると、あえて休みをずらし、作業する。

一人での作業は、自分だけのことを考えていればいいので、段取りが楽である。



10/7
キッチンのステンレス天板が出来上がってきたので、仕上げ作業にかかっている。板金のサイズに合わせ、下地の出っ張りを調節し、仕上げの木を取り付けていく。

チェリーの部材を加工しながら、ブラックウォールナットの座卓、円卓の木作りも同時に加工していく。
途中、打ち合せが入り、想像の世界に入る。「どんなのがいいのかなあ〜」と。

夕方、雑誌の取材があった。真剣に家具の事を話せる場は、そうそうないので、結構楽しいのである。

明日は休みである。
が、段取り状、機械作業が込み合うので、工房で仕事をしようと思う。



10/6
今日は、以前うちのスタッフであったカツキの結婚式があったため、お店を臨時休業させてもらった。
ハレの日である。
岐阜市にある料亭での披露宴で、ゆったりした時間が流れていた。
今日の日のために、今迄があったかのようで、また、今日の日はこれからのためにあるような。

これからも。



10/5
予定が狂って、革屋に間に合わず。夜になってしまった。欲しい革が、在庫切れしているので、ある程度の量を作ってもらうと決めた。30〜40枚で1ロットらしいが、求められる事が多くなったので、お願いしようと思う。
問題は厚くハリのあるものだ。そこまで在庫抱えれないし、かといって常に革屋に在庫がある訳でもないし、でも、使う予定もあるし。
自然素材は、一つ一つ違うから、吟味して判断しなくてはならない。
作りたい形が、ちょうど確保できるものがあるかしら、、、。




10/4
しばらくお店に保管していた家具を、現場に搬入に出かける。
先に収めた家具もある。自分の作った家具に再会できるのはうれしい事だ。

物作りの話を聞くのは、おもしろい。
いろんな可能性がある中で、決断せねばならない状況があるとする。迷いなくなるまで至らないと、気持ち悪い。

僕は、場を見つけその場を自分の楽しいものにしてしまう事が得意なのかもしれない。
家具によって場を決定づける。しかも、その場は柔軟に変更しつづけれる。

ただ、残念ながら家具によってはなんともならない事がある。それは、背景である。場が持つ「空気感」である。やわらかな光の移り変わりや、その壁やその間が放つ空気感である。
僕が写真に撮影しようと試みるが、僕の撮影テクニックでは撮影できないその空気感である。

物でいうところの細胞からにじみ出る質感。空間でいうならその周辺から影響される空気感。



10/3
チェリー材のキッチンも完成し、ブラックウォールナットのロウテーブルと円卓を作っている。
大きい家具を作るやすいように、材料や、作業台の位置を移動し、場所を確保しながらの、作業が続いていた。
結果、気持ちよくスムーズに家具を作れるからである。

材料のストックは、工房以外の場所にもあるが、ある程度はすぐ使える様に工房内に保管してある。たいへんなのは長尺材。4メートルをこすものは、少ないがそれもストックしてある。長いので貴重である。半分の2メートルに切ってしまえば、意味がなくなってしまうから、場所を確保するのに大変な訳だ。


夕方、ブラックウォールナットの木取りを終え、オーダーメイド依頼の家具の作図を進めた。



10/1
今日から月も変わり、カレンダーをめくりながら秋を感じるのであった。

一昨日、雑誌の取材があった。イスの特集という事であったが、また、僕は話をしてしまった。
木の事や木の家具作りの事についてふられてしまうと、自動的にベラベラと話し出してしまう自分である。

東京や大阪とは違い取材の日程を組むのもたいへんであろうと思うと、なんだか恐縮してしまう。
エディターの方は、本当に家具が好きなんだろう。話の中で真面目に感じた。短時間であったが、気持ちのいい時間を過ごさせて頂いた。

自分用に、アームチェアーを一脚オーダー頂いた。とてもうれしい。

忙しいが、無理矢理キャパを超えて製作するという事はしない、というかできない。人が作る以上無理は結果良くない方向に行くからだ。
ちなみに、僕の平日は、朝7時頃から段取りをし、夕方6時に製作を終え、夜に子供とたわむれた後、夜中まで図面や創作をする。これはマイペース。培ってきたサイクル。

職人という体を使って物作りをしている以上、常にムラなくスムーズに動く必要がある訳だ。一見、坦々としている日々であるが、そういうサイクルに至迄には、実はとても経験と覚悟が必要であるのだ。
坦々としているが、結果素早くできるスキル、そしてその日々を生涯続けるという覚悟。とてもとても。

秋。
創作に使う時間が自然に増えそうだ。そんな気分にしてくれる。



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